打鍼(ダシン)とは
「やさしく、ととのえる東洋医学の智慧」
現代の鍼灸ではあまり見かけなくなった「打鍼(だしん)」という技法。しかし、殆どの鍼灸師は知っている技法。施術方法のメインではないが、みんなが使える技法。この“刺さない鍼”には、いまこそ見直すべき価値がたくさん詰まっています。戸村はこの伝統技法を現代の文脈に合わせて再解釈し、「打真(ダシン)」という名前で新たなかたちのケア、セルフケアでもとして提案しています。
打鍼(ダシン)ってなに?
打鍼とは、一般的な鍼と違い、1cm近い随分太くて尖端が丸い鍼を皮膚に軽く当て、専用の小槌(だしん槌)でやさしく“打つ”ことで身体に刺激を与える、日本独自の伝統鍼灸技法です。直接刺すことなく、皮膚や筋肉、神経を穏やかに調整することができます。
夢分流(腹部中心)や意斎流(全身)といった系譜を持ち、小児や虚弱体質の人への治療法として江戸時代に発展しました。
ダシンが現代にフィットする理由
「打真(ダシン)」は、次のような特長を持つ“やさしい東洋医学”です。
・痛くない・怖くない:刺さないから小児や高齢者にも安心
・清潔・安全:衣服の上からでも使える。消毒も廃棄物も不要
・携帯性が高い:災害時や避難所でも活用できる“ストレスワクチン”
・自律神経・免疫・ホルモン系に働きかける:
・皮膚刺激による「オキシトシン」「セロトニン」「マイオカイン」分泌が注目されています
打鍼の歴史とルーツ
打鍼は、日本における鍼灸技術の中でも特にユニークな発展を遂げた技法です。その系譜は以下のようにたどることができます(戸村調べ)。
14世紀ごろ(室町時代):御薗家の多田二郎為貞が創始者とされる初期打鍼(一期)
16世紀末〜江戸初期:夢分流(腹部中心)と意斎流(全身)という2大流派が登場(二期)
夢分斎(1559–1616):禅僧を経て鍼医となり、『鍼道秘訣集』を著す
意斎(1557–1616):夢分斎の弟子とされる。王朝に仕え、多くの鍼灸書を残す
戦国〜江戸期:武家社会から泰平の世への変化とともに、強刺激の刺入鍼から、優しい刺激の打鍼・管鍼が重視されるようになる
昭和期(20世紀前半):柳谷素霊や藤本蓮風らが打鍼を再評価(三期)
2009年〜現在:戸村多郎が自作の打鍼器を用いて実践と普及を開始。教育・ケア・セルフケア・被災者支援に応用(ここで私の名前を並べるのはどうかと思いますが事実として記載しました)
このように、打鍼は社会情勢や価値観の変化に呼応しながら、時代に合ったかたちで柔軟に進化してきた技法です。
音・振動・素材の工夫も楽しい
打鍼器具は、木材や金属の素材・長さ・重さによって“音”や“響き”が変化し、その音(振動)こそが体に作用する要素のひとつ。戸村は2009年から自身で制作を続け、槌では黒檀の種類、打面に貼る鹿革の素材、鍼にステンレスなど、多彩な素材で道具を試作しながら、身体にやさしく届く“振動”を探求しています。
「ダシン」は、これからの鍼灸のもう一つのかたち
「刺さない、痛くない、でも確かに整う」戸村は、このダシンという技法に「次世代の東洋医学」の可能性を感じています。
臨床、教育、そして被災支援まで、さまざまな現場で活かせるやさしい医療。
それが、ダシン=打真です。
以上
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