今こそ東洋医学を現代技術にすり合わせる必要がある

2024/09/20

未病スコア 予防医学

t f B! P L

今こそ東洋医学を現代技術にすり合わせる必要がある 

東洋医学における臨床は、四診(いわゆる診断)と施術の二つの柱から成り立ちます。

しかし、近年、診断技術の遅れが指摘されることが増えています。その背景には、東洋医学の診断手法が鍼灸師個々の主観に依存している点があります。望診や切診など、全身を包括的に見る「心身一如」に基づいた診断は、不定愁訴のような現代医療では診断できない個別の症状に対応できる優れたアプローチです。一方、現代医学のように数値や検査機器による裏付けがないため、科学的根拠を示しにくく、特に若い世代の患者や医療従事者には信頼性が低いと感じられることがあるのです。

例えば、脈診といった診断方法は熟練の技術を要し、個々の鍼灸師の経験に依存します。これにより、東洋医学は個別対応力を発揮できますが、均一な診断精度を求める現代医療のニーズには合わない部分があります。また、診断結果が客観的に示されないことが多く、その結果、施術の効果が証明されにくく、患者に不安や疑問を抱かせる原因となることもあります。

東洋医学の施術は、慢性症状やストレス関連のトラブルに効果があるとされ、現代医学との併用も増えています。やはり、これらの効果は正確な診断に依存するため、診断技術の遅れや精度のばらつきが治療効果を左右するリスクも無視できません。そのため、特に問診や診断技術において、統計学的に検証された質問紙やAI技術を導入し、診断の客観性や標準化を図る取り組みが進められています。

診断技術の遅れは、患者の治療効果に大きく影響を与える一方、患者にとって東洋医学の優れたところが享受できないといった機会損失に繋がります。これまで培った東洋医学の診断技術を手放すのではなく、今こそ現代技術とすり合わせる方法を考える必要があり、その進化が多くの患者に新たな可能性をもたらす時期に来ています。(戸村多郎)

ページビューの合計

179,629

筋肉イラスト・フリー素材

Facebook

Twitter

自己紹介

自分の写真
未病に世界初の統計評価を導入した予防医学の博士です。未病の養生法を研究しています。大学では解剖学と統計学を担当し、オープンゼミ「とむラボ」を主宰して"東医Tech"を提案しています。趣味はアプリ作りとKindle出版。 #とむラボ #未病 #養生 #デルマヨガ #スマート薬膳

とむラボ®カレンダー

このブログを検索

Powered By Blogger

QooQ